桜色に染まる春の情景を思い起こさせる和菓子、桜餅。 今回は蒸した道明寺粉であんこをで包む関西風を作ります。 小ぶりサイズに仕上げるのが〝かるべ流〟です。
料理制作=かるべけいこ 写真=野中元 構成=三星舞


かるべけいこさん 自然食料理家。1969年、福岡県生まれ。食の自給を目指し、1994年に夫で写真家の野中元さんと熊本県南阿蘇村へ移住。料理講師としても活躍している。


 桜餅は和菓子屋さんで買うものと思い込んでいませんか。実は、少ない材料で簡単に作ることができます。ポイントは、蒸した道明寺粉であんこを包む工程で、できるだけ手早く作業すること。道明寺粉は冷めるにつれて固くなり、どんどん扱いづらくなってしまうからです。 どんな料理にも言えることですが、まずは作り方をよく読んで、頭の中でイメージをしてから調理に入りましょう。そうすることで、落ち着いて作業ができ、失敗も少なくなります。
(かるべけいこ)


材料
道明寺粉 10g(できれば合成着色料ではなく天然着色料で色づけされたもの)
桜の葉の塩漬け 8~10枚
てんさい糖 大さじ1
あんこ 食べたい分だけ (あんこの炊き方は2017年春号・おはぎの回で紹介している)
水 150㎖


(主な道具) 包丁、まな板、土鍋、お玉、ピーラー、すり鉢、すりこぎ


(分量について) 調味料の種類やその日の気温などによって仕上がりの味は変わるため、レシピには必要な分量のみ記載しています。味見のポイントごとに確認し、その都度好みの味に調整してください。



1.鍋に水とてんさい糖を入れて火にかけ、てんさい糖を混ぜ溶かす。

2.①が沸騰したら道明寺粉を加えて軽く混ぜ、火を止める。ふたをして、10分ほど蒸らす。

〔ポイント〕後で蒸し器で再加熱するので、この時点では芯が残っている程度に火が通っていればよい。

3.あんこはふた口で食べられる程度の大きさに丸めておく。

4.蒸気の上がった蒸し器にクッキングシートを敷き、②を広げる。中火で10分ほど蒸す。

〔ポイント〕芯まで透明感があり、指先で簡単にすり潰せる程度にやわらかくなっていたら蒸し上がり。もし芯が残っているようならさらに5分ほど蒸す。

5.桜の葉の塩漬けはキッチンペーパーで挟み、余分な汁気を取っておく。

〔ポイント〕もし塩漬けの汁をなめて塩っぱすぎると感じるようなら、塩抜きしておく。

6.⑤を鍋に戻す。すりこぎで軽く潰して、粘りを出す。粒の食感も楽しみたいので、潰しすぎないようにする。

7.手を水でさっと濡らし、⑥を手のひらにのせる。反対の手の指先で軽く押しながら広げる。

〔ポイント〕蒸した道明寺粉は冷めると固くなる。手早く作業することが美しく仕上げるポイント。
             8.⑦の中心に③のあんこをのせて包み、だ円に成形する。


〔できあがり〕⑤を葉脈を外側にするようにして⑧にかぶせ、包む。