九州の食卓の社猫として毎日会社に出勤し、
周辺のパトロールと昼寝を日課としている「ゆきち」。
かつて野良だったとは思えないリラックスぶりは
ボス猫として君臨して来た、懐の大きさを物語る。
「ゆきちの部屋」の第1回目は、
なぜ社猫になったのか、そのいきさつから話を始めよう。
こんにちわ、ゆきちです。
こんにちわ。僕は、ゆきちといいます。
元々、野良猫だったのですが 縁あって、九州の食卓の編集室の人たちに お世話になることになりました。今は社猫として、毎日制作室に出勤しています。昔は、一帯のボス猫だったので えらが張って、顔が大きくて 猫相が悪いのがトレードマークです(最近、可愛い顔になったと言われます)。僕がどうして、社猫になったのか、少しお話しします。
ボス猫として気ままに暮らしていた1年前。それまで壁がなくて出入り自由だった穀物倉庫に人間たちがやってきて、なんだかうるさくなりました。その上壁が造られて、倉庫には入れなくなりました。
さて、お気に入りだった倉庫は、 「九州の食卓」の制作室になって、11月に「セレクトショップ」ができました。 倉庫周りは僕のパトロールコースだったので、 休憩とか、お昼寝とか、 気持ちよく過ごしている時に、ちょくちょく 制作室のスタッフに目撃されていました。
2017年の2月。少し春めいた日があり、 僕は彼女とのデートを満喫していたのですが、 前からごはんをもらっていた家で保護されました。 そして、病院に連れて行かれたのです。
そこで僕は去勢手術をされました。 そして、大津町に帰ってきた翌日、隙を見て脱走。 しばらくしたら、お腹がすごく痛くなりました。
あまり覚えていませんが、あちこち歩いたみたいです。 たどり着いたのが九州の食卓セレクトショップの前。 そこで動けなくなった僕は一生懸命なきました。 そしたらショップにいたスタッフ(み)が出てきて、 僕を見つけてくれたんです。
その日は年に4回くらいしかない 猛烈に忙しい日だったので全員集合していたらしく 僕はみんなから取り囲まれました。その時の僕のお腹は血まみれ。 立てなくなっていたので みんな交通事故に遭ったと思ったみたいです。受け入れてくれる動物病院が見つかって ビニール袋から顔だけ出して コンテナに入れられ、車に乗せられました。
僕はおしっこの管が詰まる 「尿閉」という病気になってて あと少しで死んじゃうところだったそうです。その晩は、病院で預かってもらえることに。 先生たちが励ましてくれました。

さて、一命を取り留めた僕ですが、 おしっこが詰まらないように おしっこの管にストローみたいなのを 入れられました。 少しずつおしっこが垂れてくる仕組みです。翌日の夕方に九州の食卓に帰ってきたら 制作室内には大きなケージが用意されていました。 トイレとブランケット付きです。
そしてスタッフ(み)が名前をつけてくれていて 僕は「ゆきち」になりました。しばらくは、スタッフが制作室に泊まり込んで、僕の様子を見てくれたおかげで、少しずつ元気になってきました。それでリードをつけて外をお散歩していた時、突然 大きな編集長が、ドーンと目の前に現れました。 すっかり油断していた僕は びっくりぎょうてん!!
力いっぱい頭を振ったら 首輪ごとスポッと抜けたので、走って、 顔なじみのシゲコさんの家に緊急避難しました。シゲコさんは僕のおしっこストローを見て 「いじめられてる!」とびっくり。 スポッと抜いてくれました。
ストローが抜けてすっきりして、 夜になってお腹が空いたし寒かったので、 僕はショップに行ってみました。責任を感じていたらしい編集長が、 外にごはんを置いてくれていました。 「気がきくなぁ」と、ごはんに突撃した時、 ガシャンと音がしました。 ケージの扉が閉まった音です。
僕はケージの中に入っていたんです。 振り返ると、編集長の顔が。 僕は、編集長との戦いに負けました。 また、事務所に缶詰です。それから、お腹はいっぱいになったのに、 何となくぐったりしてきたので、 その日は早く寝ることにしました。

それでも、どんどんぐったりしてきました。 その様子を見たスタッフが、次の日に 病院に連れていってくれました。 ストローが抜ける時期が早すぎたみたいです。 病院では、「手術した方がいい」 と言われました。 おしっこの管を短くする手術です。 それを聞いた編集長が、高〜い 手術代を出してくれることになりました。 僕は野良猫なのに。 ありがとう! 編集長!! 僕は手術を頑張ることにしました。
大手術の後、一週間くらいして抜糸してもらいました。その頃には元気になってきて、リード付きでお散歩を満喫する毎日。夜はスタッフの家で爆睡するようになりました。
一カ月くらいして、編集長が制作室の外に小屋を造ってくれました。それで、僕はリードなしの外出許可が出て、みんなから、「元気でね!」とか「時々、遊びに来てね!」とか言われて、小屋の中に入れられました。
みんなが僕を見守る中、すっかり自由になったので、僕は久しぶりにパトロールに出かけました。それで、お昼頃になってお腹が空いたので、制作室に帰って「ごはーん!」と叫びました。
みんなから、「帰ってきた!」と笑われました。その日のうちに僕は、夜はスタッフの家に帰り、毎日制作室に出勤する社猫として採用されました。それから、基本的には毎日、ショップ周りにいてパトロールしてお昼寝して、スタッフの仕事もちゃんと手伝っています。
というわけで、次回からは僕の日々の働きぶりを紹介していきますね。
それではまた、お元気で。