家族や気の合う仲間と湯気の立つ鍋を囲む幸せ…。
昆布と椎茸のだしが効いた豆乳鍋を紹介します。
食べ終わる頃には身も心もほころんでいるはず。

料理制作=かるべけいこ 写真=野中元 構成=三星舞


かるべけいこさん
自然食料理家。1969年、福岡県生まれ。食の自給を目指し、1994年に夫で写真家の野中元さんと熊本県南阿蘇村へ移住。料理講師としても活躍している。


 寒さで甘みと旨みがぎゅっと濃縮された冬野菜を、温かい状態でたっぷりと食べられる鍋料理。甘みが強いかぼちゃのわたや白菜の芯、旨みの濃いしいたけの軸など、素材の持ち味を上手に引き出して作りましょう。市販の〝鍋つゆ〟や〝鍋のもと〟を使わなくとも、簡単に、おいしく仕上がります。  豆乳は加熱すると分離しがちですが、葛粉でとろみを付けることで防げます。また、葛粉には血行を良くし、体を温める効果もあります。片栗粉よりも少し高価ですが、この機会に使ってみてください。 (かるべけいこ)


材料
昆布 1枚/白ワイン/かぼちゃ/ブロッコリー/エリンギ/白菜/ほうれん草/鶏もも肉/椎茸/だいこん/豆腐/豆乳/本葛粉 葛粉100%のもの(同量の水で溶いておく)/塩 天然のもの/味噌


(主な道具)
包丁、まな板、土鍋、お玉、ピーラー、すり鉢、すりこぎ


(分量について)
調味料の種類やその日の気温などによって仕上がりの味は変わるため、レシピには必要な分量のみ記載しています。味見のポイントごとに確認し、その都度好みの味に調整してください。



1.鍋やボウルに取りたいだしの量の水と昆布を入れて、3時間~ひと晩おく。

2.①を土鍋に移し、好みで白ワインを入れる。中火にかけ、沸騰直前に昆布を取り出しておく。

3.かぼちゃは種を取り除き、厚さ1cmのくし切りにしておく。

〔ポイント〕わたには栄養と甘みが凝縮されている。種だけ手で取り除き、わたは残しておく。

4.ブロッコリーは小房に分け、熱湯でさっと下ゆでする。ざるに広げて粗熱を取る。

〔ポイント〕ブロッコリーは歯応えを残し、色よく仕上げたい。余熱で火が通りすぎないようにざるに広げておく。

5.エリンギは石突きを取り、縦に薄切りする。

6.白菜は食べやすい大きさに切る。

〔ポイント〕白菜の芯の部分は甘みがたっぷり。葉を1枚ずつよく洗い、ギリギリまで芯を残して根だけ切り落とす。

7.ほうれん草は長さ3~4cmに切る。軸は十字に切り込みを入れてから手で裂く。

〔ポイント〕ほうれん草の根も甘みが強い部分。切り口をごく薄く削ぎ、汚れている箇所のみ包丁の角で削って使う。

               

8.鶏もも肉は脂肪のかたまりや筋、軟骨があれば取り除き、ひと口大に切る。

 

9.②の鍋に⑧の鶏もも肉を入れ、ふたをして煮る。火をしっかり通しておく。

10.椎茸は石突きを取り、軸を切り離す。かさは好みで飾り切りを施しておく。

〔ポイント〕

きのこ類は洗うと旨みや栄養が流出してしまう。かさの部分に汚れがある場合は洗わずに濡れ布巾で拭く。

11.⑩の飾り切りで切り落とした部分と軸は、千切りにしておく。

12.⑨の鍋に⑥の白菜の芯、⑤のエリンギ、⑩と⑪の椎茸を入れる。ふたをしてやわらかくなるまで煮る。

13.豆腐は食べやすい大きさに切る。

14.だいこんは皮ごとピーラーでリボン状の薄切りにする。

15.⑫の鍋に豆乳をひたひたに注ぎ、③のかぼちゃを加える。


16.鍋の汁にほんの少しの水溶き葛粉を混ぜ溶かし、うっすらとろみを付ける。

〔ポイント〕調味料を加える前に葛粉でとろみを付けておくと、豆乳のたんぱく質の分離を防ぐことができる。


17.塩と味噌で味を調える。味噌はすり鉢ですり、少量の鍋の汁で延ばしてから鍋に加えると溶けやすい。


〔味見〕汁を飲み、おいしいと感じる程度に味付けする。塩は味を引き締め、味噌はコクをもたらす。

〔できあがり〕残りの具材を加えて煮る。


〔おまけ〕鍋の締めはチーズリゾット風のおじやで。残った汁にご飯を入れて煮て、溶けるタイプのチーズを混ぜる。