ふっくら、つやつやとした「渋皮煮」は、秋のごちそうです。調理の時間と手間はかかりますが、頑張ってよかったと思えるほどのおいしさです。
料理制作=かるべけいこ 写真=野中元 構成=三星舞


かるべけいこさん 自然食料理家。1969年、福岡県生まれ。食の自給を目指し、1994年に夫で写真家の野中元さんと熊本県南阿蘇村へ移住。料理講師としても活躍している。


  南阿蘇村にある私の家には大きな栗の木があり、9月の終わり頃は栗拾いで大忙し! おかげで渋皮煮や甘露煮など、栗料理を毎年満喫しています。
 私の渋皮煮は、最後に調味料を煮切って栗に絡ませます。生産者の方がていねいに造ってくれた調味料をできるだけむだにせず、大切に味わいたいからです。そのため、砂糖の量は、煮切ってちょうどよく感じるくらいの甘さにしてあります。煮切らない状態で食べてみるととてもあっさりとしていて、栗本来の甘さが感じられますよ。 (かるべけいこ)



材料
/作りやすい分量
栗 1kg
黒砂糖 100~130g
しょう油 大さじ1


(主な道具) 鍋、ボウル


(分量について) 調味料の種類やその日の気温などによって仕上がりの味は変わるため、レシピには必要な分量のみ記載しています。味見のポイントごとに確認し、その都度好みの味に調整してください。



1.鍋にたっぷりの湯を沸かし、栗を入れる。火を止め、鬼皮がやわらかくなるまでそのまま15分ほど待つ。


2.渋皮を傷つけないように気をつけながら、鬼皮をむく。むいたそばから水に浸しておく。


POINT.鬼皮はお尻の方からむくと、渋皮に傷をつけにくい。


3.鍋に②を入れてたっぷりと水を注ぎ、火にかける。


4.
沸騰したら弱火で10分煮る。


5.④の鍋に新しい水を注いで加え、ゆでこぼしする。


6.栗の表面を指の腹でこすり、うぶ毛や筋をざっと取り除く。


7.
鍋に⑥を入れてたっぷりと水を注ぎ、再度火にかける。


8.
沸騰したら弱火で10分煮る。


9.
⑧の鍋に新しい水を注いでゆでこぼしする。


10.⑦~⑨の作業を4~5回繰り返し、アクを抜く。


POINT.はじめは栗が見えないほど濁っていた煮汁が、アクが抜けるにしたがって透き通ってくる。実際に味をみて、渋みを感じなければゆでこぼし終了のサイン。


11.栗の表面を指の腹でこすり、うぶ毛や筋をきれいに取り除く。


12.鍋に⑪を入れて水をひたひたに注ぎ、火にかける。


13.沸騰し始めたら黒砂糖としょう油を半量ずつ加え、5分ほど煮る。


14.味を見ながら、残りの黒砂糖としょう油を少しずつ加えて味を調える。5分ほど煮て、鍋ごと冷ます。煮汁に浸けた状態で1週間ほど冷蔵保存できる。長く楽しみたい時は、密閉袋に汁ごと小分けして冷凍を。食べる際に自然解凍してから工程15の作業に移る。



味見!.黒砂糖は甘みを加え、しょう油は味を引き締めてくれます。


15.食べたい量の栗を小鍋に入れ、煮汁をひたひたに加えて火にかける。中火で煮切って、栗に煮汁を煮絡める。

できあがり.栗が甘みをまとってつやつやとしたら完成。