「旅するクーネル」こと井上よしおさんとキャンプに出かけた。九州の食卓の取材を通じて知り合い、セレクトショップでスパイスカレーの料理教室や1日食堂を開いてもらったり、この連載を担当してもらったりと、何かとお世話になっているのだが、大抵は取材やイベントでバタバタしていて、じっくり話をする機会が持てずにいた。井上さんの作る料理はおいしい。その理由と秘密を探ってみたいと常々思っていた。そのためには、お互いの共通の趣味でもあるアウトドアで、焚き火を眺めながらしみじみやるのが一番だろうという結論に達したのである。
文・写真=坂田圭介


井上よしおさん=旅する料理人(旅するクーネル/三瀬スパイス研究所)
福岡の大名で、10年間ワイン食堂「食堂クーネル」を営んだ後、1年間の世界一周旅行へ。帰国後、佐賀県三瀬村に移住し、カレーの移動販売を始める。現在は、スパイス料理の教室や講師としても活躍中。



おいしいって、何?

 向かったのは、宮崎県のとある清流の河原。最近のキャンプ場は〝直火禁止〟のところが大半だ。焚き火を楽しむには、専用の焚き火台を用意しなくてはいけない。キャンプの目的の半分が焚き火である私にとっては、この状況は論外なのである。だから向かうのは河原。流木があって、いつでも火を消せる水が横を流れていて、かまどを作るための石もゴロゴロしている。理想的な場所なのだ。

焚き火がしたくてキャンプに行くようなもの。だから河原が一番

 しかし、河原ならどこでも野営をしていいというわけではない。しかも、急な増水にも注意が必要だ。帰る際には、現状復帰が絶対条件。そのあたりのリサーチや判断、マナーは皆さん、自己責任でお願いします。

川沿いに走り、川の表情を確かめながら、お気に入りの場所を見つけるのも楽しみ

 さて、焚火談義の前に食事の用意である。登場するのは、当然スパイス料理。しかも、アウトドアバージョン。このレシピは、要チェックだ。おいしくて、簡単、失敗がない。野外料理にマンネリを感じていた人は、ぜひチャレンジしてみてほしい。もちろん、自宅で作るレシピとしても超おすすめである。
基本的な考え方は、家で仕込みを済ませておき、現地では煮たり焼いたりするだけにするというもの。これで本格的なスパイス料理が、大自然の中で楽しめる。

キャンプの定番料理の一つカレーだが、こんな本格的なスパイスカレーが手軽に楽しめるのだ

 今回は熱源にロケットストーブを持ち込んだ。ちょっと重くてかさばるが、実に機能的に働いてくれる。少ない燃料で効率的に調理ができる点では特筆ものである。調理はこのロケットストーブと焚き火。ホワイトガソリンのストーブやカスのバーナーなどは使わずに、「生の火」にこだわって料理を楽しんだ(というか、私は見て楽しんだのであって、料理は井上さん夫婦に任せ、私は食べただけなのだが)。

ロケットストーブがよく働いてくれた

焚き火で調理するのも醍醐味

 陽も落ちた。おいしい料理とビール、日本酒、ワインのチャンポンコースを堪能しながら、本題に入る。
「なぜ、井上さんが作る料理はおいしいんですか?」
「そもそも、おいしいって、何?」
「う〜ん」
真面目な井上さんは考え込んでしまった。井上さんは「旅する料理人」であると同時に「悩める料理人」でもある。「う〜ん、う〜ん」と考えているうちに、早寝早起きの井上さんは寝込んでしまった。これは時間をかけて、熟考してもらうしかない。そうだ、その思いを書いてもらおう。翌朝、原稿の執筆依頼をしたのだった。(つづく)

何とも楽しい夜が更けていく


簡単スパイシーチキンカリー(四人分)

■材料
骨付きの鶏もも肉800グラムから1キロ
玉ねぎ1個
トマト1個
ニンニク3個
生姜同量
トゥナパハ 大さじ2
シナモン 5センチ
カルダモン 5個
クローブ5個
ターメリック 小さじ1
チリパウダー 小さじ1
黒胡椒パウダー 小さじ1
カレーリーフ 20枚
ランペ 5センチ
生のグリーンチリ 2本
油 大さじ3
ココナッツミルク 100から200cc
塩 小さじ2
レモン2分の1

■作り方
①自宅にて…
鶏もも肉をぶつ切りにし、玉ねぎはスライス、トマトをあらみじん切りにする。ニンニクと生姜をすりおろし、青唐辛子は縦に切れ目を入れる。ボールに油とココナッツミルク以外の全ての材料を入れてもみこむ。ジップロックに移し替えキャンプに持っていく。




②現場にて…
熱源を用意して煮込み用の鍋を火にかける。
温まったら油を入れてジップロックの中身を全ていれる。
カレーの材料をザックリ炒めて良い香りが漂い始めたら、水をヒタヒタにして鶏肉が柔らかくなるまでにこむ。

③塩味をみて最後にお好みのココナッツミルクを加え軽く煮込んだらレモン汁を加えて完成。
■カレーリーフ、ランペは無くても大丈夫です!
チリパウダーや黒胡椒、グリーンチリも苦手ならば省いてください!
トマト缶でも大丈夫です。目安はトマト缶なら半分くらいです。
トゥナパハは市販ので大丈夫です。


簡単で誰でもできるスパイスカリーです!
自宅でもどうぞ!(by 井上)
旅する料理人「河原のキャンプ編」を読む
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