スーパーで買うのが当たり前になってしまった加工品や調味料の
手作りする楽しさ、おいしさを再発見しようという
「できるだけ手作り」シリーズ。
これまで編集部が誌面で行ってきた手作り挑戦の中から、
今回は、九州の食卓2014年夏号で企画した「海塩」を
アーカイブ編としてご紹介しよう。
夏休みの自由研究にもオススメのテーマだ。
文・写真=編集部


海水を汲み上げるための道具

材料  海水約10ℓ(作りたい塩の量の約10倍量)

海塩を作ってみる
食卓に欠かせない調味料の一つ、塩。これまで当然のように購入したものを使っていたが、海水から水分を取り除けば作れるのでは…。手作りの塩で作るおむすびは、きっとおいしいはず! そんな期待を胸に、熊本県天草市の通詞島へ向かった。野生のイルカが生息する、美しい海である。

1. バケツにロープを結び、遠くへ投げて、できるだけ綺麗な海水を汲み上げる。海水はポリタンクへ。
※岩場での作業は大変危険です。十分に安全を確保してから行ってください。

2. 海水から大きめのゴミを取り除くため、2重にしたさらしで海水を濾す。

3. ②をさらにキッチンペーパーで漉す。砂など細かいゴミを取り除く。

4. ③を鍋に入れて火にかける。

5. ④の量が10分の2程度になるまで煮詰める。

6. ⑤をさらしで濾し、鍋に戻し入れる。

7. 鍋を火にかけ、⑥の量が10分の1くらいになるまでさらに煮詰める。

8. 結晶が焦げ付かないよう、しゃもじなどで混ぜながらさらに煮詰める。

9. わずかに残った水分を2重にしたさらしで濾す。


10. 天日に干し、水分を完全に飛ばす

完成


6時間+海への往復=192g。調味料の背景にあるもの
 米の甘みを引き立てる柔らかい塩気の中に旨みを感じる。ふくよかな味だ。塩作り初心者にしては、なかなかのでき上がりだと思う。海水の汲み上げから濾過、水分の蒸発と、とにかく手間も時間も体力もかかる。蒸発させるだけでも5時間15分。よく行く自然食品店にある天草の海の塩の価格は、200g入りで500〜600円。自分で作ってみて、それは決して高値ではないと感じた。一方、近所のコンビニエンスストアでは100gの卓上塩が62円で売られている。この違いの理由を考えてみる必要があるはずだ。