いよいよ今年も栗の季節がやってきた。栗ごはんに栗おこわ、渋皮煮にモンブラン。
旬が短い栗を追いかけて、熊本県山都町に向かった。
文・写真=坂田圭介


「栗が降る」という言葉を耳にしたことがあるだろうか?
2018年9月の末、熊本県山都町で農園を営む「Organic Beats(オーガニックビーツ)」の小倉さんから「栗が降り始めました」という電話をいただいた。

「オーガニックビーツ」は、新潟出身の小倉淳さんと、茨城出身の典子さん夫婦で、栗、米、野菜を無農薬、無化学肥料で栽培している農園だ。栗の収穫の様子を写真に撮りたいとお願いしていたところ、この電話をいただいたという次第である。

早速、9月4日に栗園に向うと、早生品種の栗があちらこちらで弾けていた。井無田高原にある栗園は、標高600m以上。熊本市内は35度もあったのに、栗園には清々しい風が吹いていた。


栗の収穫は、基本的には木から落ちた実(正確には種)を拾う。栗拾いの経験がある人はお分かりだと思うが、いがに入ったままの栗は、靴で両側をムニっと開いで中の実を取り出す。基本的にはプロの栗農家も収穫の方法は同じ。立ったり座ったりの動作が大変なので、火挟を持って栗を拾う。落ちた栗は、少なくとも2〜3日中に拾わないと商品価値が落ちる。雨が降ると拾えないので、秋の長雨は大敵だ。


「栗が降り始めると、睡眠不足が続きます」。とにかく、期間中は毎日収穫。そして、選別、出荷の繰り返し。オーガニックビーツでは栗ジャムなどの加工もやっているので、作業が深夜に及ぶことも。それでも、栗は降るのを待ってくれない。鮮度のいい、おいしい栗を消費者の方たちに届けたいと、寝る間を惜しんでの作業が続く。


栗は鮮度が命だといわれる。購入してからの保存方法を小倉さんに聞いてみた。

「乾燥させないようにするのが大事です。購入後は、乾燥防止の袋か新聞紙に包んで0〜4度の冷蔵庫(チルド室)に入れてください。3日くらい置いた方が、甘さが増します」。常温で保存すると、栗が自らの糖分を分解してしまい甘みが低下してしまう上に、虫がいた場合にはその被害も大きくなるのだ。

「冷蔵なら10日以内に食べるか、加工してもらいたいですね」。3カ月くらいは保存が可能とする人もいるが、あくまで美味しく食べられる賞味期間が10日程度だということだ。食べられなくなるわけではないが、時間が経つと乾燥し、糖度が落ちる。パサパサで甘くない栗は、できれば遠慮したいものである。


冷凍も可能だが、その場合は鬼皮も渋皮も剥いて、むき栗の状態にしておくと後で使いやすい。その場合は、むいた栗をフリーザーパックに入れて砂糖をまぶし、揉むようにする。できるだけ空気を抜いてから封をすると乾燥を防いでくれるそうだ(ためしてガッテンでやっていたらしい)。お正月の栗きんとん用も、これで確保できる。小倉さん的賞味期間は冷凍で3カ月。


小倉さんによると、おすすめの食べ方は素揚げだとか。鬼皮を剥き、渋皮がついたまま油で3〜4分素揚げにする。いい塩をパラっと振っていただく。はちみつをたらしてもおいしいそうだ。試してみたが、なるほどパリパリの渋皮と栗のほくほく感のバランスが絶妙である。甘いだけではない、栗本来の風味や味がシンプルに味わえてクセになる。

栗の素揚げを作ってみた

まず、鬼皮を剥く。熱いお湯に浸してから、渋皮を傷つけないように丁寧に。

と、いうものの、スタッフ全員で剥いたのだが、かなり渋皮にハゲを作ってしまった。今回は包丁を使ったが、ネットで調べてみたら薄めのバターナイフがいいと書いてあった。栗の皮むき専用ハサミなんかもある。

油で素揚げにする。なたね油を使用。渋皮がパリッとした感じになったらOKだ。時間で3〜4分。揚げすぎると、外側が硬くなってしまう。

塩をふって完成。これまで食べたことのない栗の食感。パリッとホクホク。渋皮がハゲてもあまり影響ないし、簡単でおすすめ。

もちろん、定番の栗ごはんや栗おこわ、渋皮煮、甘露煮もいい。スイーツに挑戦してみるのもこの季節ならではの楽しみだ。

今回、オーガニック・ビーツさんの栗を分けてもらえることになった。農薬。化学肥料、除草剤などは一切使用せずに育てられたものだ。M〜2Lサイズが混在して、1kgで960円(税込)。九州の食卓のセレクトショップで販売するのと同時に、通販でも注文を受け付けているので、興味のある方はお試しを。

栗の旬は短い。早生から晩生まで含めても1カ月ちょっと。10月上旬までのお楽しみだ。秋を代表する味覚を、ぜひあなたの食卓にも。

生産者紹介の記事を読む栗を注文する(2018年10月上旬までの期間限定)